「ふるさと納税」は、自分が選んだ自治体に寄付をすると、その金額が所得税や住民税から控除され、さらに返礼品ももらえる制度です。
実質的な自己負担は年間で一律2,000円(所得や家族構成によって上限あり)で、それ以外は税金の前払いといった感じになります。
ふるさと納税で受けられる控除額には上限があり、その額は納めている税金の金額や、寄附をする人の家族構成、年収(所得)、さらにすでに受けている税金控除の額によって決まります。
ふるさと納税を始める前に、控除限度額をシュミレーションする人は多いでしょう。
この記事では、ふるさと納税の控除限度額がシュミレーションと違う理由、正確な計算方法についてご紹介します。

ふるさと納税の控除限度額がシュミレーションと違う理由は?
ふるさと納税をする際、控除限度額をシュミレーションする人は多いと思います。
ただし、シュミレーション結果と実際の控除限度額が違うことがあり、その主な理由は、シュミレーションで表示される金額があくまで「目安」に過ぎないからです。
控除限度額
ふるさと納税の上限額は、年収や家族構成・扶養家族などによって変わります。控除情報が正しく反映されていないと、控除限度額が異なる場合があります。
その他の所得控除項目
医療費控除や雑損控除、生命保険料控除、地震保険料控除、iDeCoの掛金など、ふるさと納税以外の所得控除が多いと、課税所得が減り、その結果ふるさと納税の控除限度額も少なくなります。
年収の変動
シュミレーションは「寄付をする年の年収」を基に計算されますが、ボーナスなどが予想と違って変動した場合、実際の年収とシュミレーションで使った年収がずれ、その結果、限度額も変わります。
副業・不動産所得など
給与以外の副収入や、不動産収入・配当金収入などがあると、それらも控除限度額に影響してきます。
家族構成・扶養控除の変更
寄附時の家族構成や扶養親族の状況(大学生の子どもの有無など)が、その年のうちに変わった場合にも影響があります。
参考までに、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税(復興特別所得税を含む)及び個人住民税から控除される、ふるさと納税額の目安一覧(平成27年以降)をご紹介します。
※以下、総務省ポータルサイトより抜粋。
※住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケースとなります。年金収入のみの方や事業者の方、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けている給与所得者の方の控除額上限は表とは異なりますのでご注意ください。
※社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定しています。

(出典:総務省サイトより一部抜粋)
※1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
※4中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はありません。
例えば、「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」と同額になります。また、「夫婦子2人(高校生と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額になります。
(出典:総務省サイトより)
以上、総務省ポータルサイトから抜粋してご紹介しました。詳しく知りたい方は、ぜひ総務省のポータルサイトをご覧ください。
ふるさと納税のシュミレーションはあくまで参考程度にして、寄附可能額の上限ギリギリではなく、少し余裕を持って利用するのがおすすめです。
正確な金額を知りたいときは、お住まいの市区町村の住民税担当課や最寄りの税務署、または税理士に相談すると良いでしょう。

ふるさと納税の正確な控除限度額の計算方法
ふるさと納税の正確な控除限度額の計算方法についてご紹介します。
実質的には、住民税所得割額の20%という値が、控除限度額を計算する際の基準となります。
控除限度額の計算

(出典:総務省サイトより)
ふるさと納税額が【(住民税所得割額×20%)÷(100%-基本分10%-所得税率×復興税率1.021)+自己負担2,000円】より少ない場合は、自己負担約2,000円を除いて全額控除が受けられるということです。
計算のポイント
基準となる年収
ふるさと納税の控除限度額は、その年の1月1日から12月31日までの年間所得(年収)をもとに計算されます。前年や一昨年の年収ではないので注意しましょう。
控除される税金
控除は、所得税の還付と住民税(基本・特例)の控除の2つの形で行われます。
その他の控除
社会保険料控除や生命保険料控除、医療費控除・住宅ローン控除など、ほかの所得控除や税額控除があると、ふるさと納税の限度額に影響することがあります。
年収や家族構成
限度額は年収や家族構成、扶養家族の有無や人数によって変わります。たとえ年収が同じでも、扶養家族の状況によって控除額は異なります。
源泉徴収票
会社員は、毎年12月頃に配られる源泉徴収票の「支払金額」や「所得控除の額の合計」などの項目をチェックします。
なお、全額控除されるふるさと納税額の年間上限を超えた金額については、全額控除の対象となりませんのでご注意ください。
ふるさと納税の控除については、お住まいの市区町村の住民税担当課に相談するほか、総務省や国税庁のホームページでも情報が見られるので参考にすると良いでしょう。
まとめ
ふるさと納税の控除限度額シュミレーションは便利ですが、あくまで目安として活用し、寄附額は上限ギリギリではなく少し余裕をもたせて利用するのがおすすめです。
所得税や住民税、社会保険料控除や住宅ローン控除など、必要な本年度の書類をそろえて、しっかり正確な金額を計算しましょう。
わからないことがあれば、お住まいの市区町村の住民税担当課や近くの税務署、または税理士に相談すると安心です。
ということで、ふるさと納税の控除限度額がシュミレーションと違う理由、正確な計算方法についてご紹介しました。